トップメッセージ

CSRレポートから統合報告書へ
株主をはじめステークホルダーの皆様には、日頃より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。今期より当社では、従来、企業としての取り組みを知っていただくために発行してきたCSRレポートに代わり、統合報告書を発行することにいたしました。
昨年5月、当社は長期経営構想「Vision2033」を発表し、10年後(2033年)のありたい姿を「地球の未来を創造(CREATE)」する企業グループと定めました。この長期経営構想では単なる経営数値目標だけでなく、環境、人、地域といった社会課題の解決に向けたサステナブル経営目標を掲げ、多面的に成長する当社グループの姿を描いています。こうした取り組みをすべてのステークホルダーの皆様により詳しくお伝えし理解を深めてもらうためには、財務と非財務の関連を示した報告が必要と考え、統合報告書に切り替えることといたしました。さらに、もう一つの目的は当社事業の認知度向上です。社名からは何の企業かわかりにくく、単なる建材の会社だと認識している方も多いと聞いています。
実は当社は、日本では他社が容易に真似することができない優れた技術を多数保有しています。例えば、豊洲市場の天井板は、22万枚すべてが耐水性・耐火性に優れた当社のけい酸カルシウム板です。福岡空港では、抗菌機能を持った化粧板が採用されています。また、ショッピングモールなどで目にするカーブした天井部分には、当社独自技術の曲面加工が可能な不燃性の板が使用されていて、他社では作れません。近年では液化天然ガス(LNG)を燃料とする船舶のタンク保冷工事も手掛けています。船舶の既存燃料である重油に比べCO2排出量がより少ないLNG燃料船の需要が高まる中、マイナス163℃を保つ工事技術を持つ企業は、日本では当社グループのアスク・サンシンエンジニアリング㈱だけです。
このように、ニッチではありますが高い技術力を有していることをステークホルダーの皆様に知っていただきたいですし、私自身、もっと投資家向け説明会等で皆様に当社グループの魅力をお伝えしていきたいと考えています。そのためのツールとして、統合報告書を活用していきたいと考えています。
当社製品の価値が認められた「2023中期経営計画」
前年度まで実施した3カ年の「2023中期経営計画」では、最初の2年間は新型コロナウイルス感染症、2年目の終わりから3年目は原燃料価格や物価高騰の影響を大きく受けました。現在、当社が使用する電力やガス、輸入パルプの金額は、年間合計でコロナ前に比べて2倍以上になっています。
しかし、これらの値上がり分は、コストダウンと一定の価格転嫁により、2024年3月期における売上高、営業利益、営業利益率は、中期経営計画の目標値には届かなかったもののいずれも前年を上回りました。
経営環境は大変厳しい状況が続きましたが、多くのお客様が価格の値上がりを受け入れてくださり、当社製品やサービスの価値、工事の技術力を高く評価、支持いただけていることを実感できた3年間であったと考えています。この事実を従業員も理解し、自分たちの製品の優秀さを、自信を持ってお客様にアピールできる、そうした基盤ができたのではないかと思っています。
また、主要戦略として挙げた、「事業とESGへの取り組み一体化」では工場における省エネ設備の積極導入や「CSR2033」の策定、「成長に向けた未来志向の事業戦略推進」では、散布型除菌剤「ヨドックス粒」、抗ウイルス化粧板「ステンド #400MB Vガード」の上市、「DXの推進」では、経費精算システムの導入や会議におけるペーパーレス化の推進などを実現できました。
長期経営構想「Vision2033」における中期経営計画の位置づけ

長期経営構想「Vision2033」では、既存の2事業分野を「建設・建材(コア事業)」「産業インフラ(成長事業)」「環境(新規事業)」の3事業分野に再定義するなど7つの基本方針を掲げ、次の10年で企業価値を高め持続可能な社会の実現に資するとともに、業績目標として2033年度の売上高1,000億円、売上総利益率30%、営業利益率10%の実現を目指しています。
この「Vision2033」を策定したのは、当社グループの未来を担う20代後半から40代前半の若手メンバー20名です。通常の仕事のかたわら、コンサルタントや経営層ともキャッチボールしながら約半年かけて構想をまとめ上げました。2033年からバックキャストにより3段階の中期経営計画として、「1st Stage:挑戦と変革」(2024~26年度)、「2nd Stage:成長」(2027~29年度)、「3rd Stage:創造」(2030~33年度)を策定し、継続的な2桁成長を目指していく予定です。
「Vision2033」の目標達成に向け、取り組まなければならない課題として、1st Stageの初年度である現在は、人事制度改革のプロジェクトを立ち上げ、長期経営構想同様、中堅・若手メンバーで、就業規則を含めた諸制度の改正案づくりに取り組んでいます。そのほかにも業務全般にわたるDX化の推進、工場における職人技に依存した製造工程のIoT、AIを利用した見える化などにも継続的に取り組んでいかなければなりません。こうした取り組みを通じて、社員が新たな知識や技術を身に付けていくことが、グループの成長にも欠かせないと考えています。
「Vision2033」達成の第一歩となる「2026中期経営計画」
「Vision2033」達成への1st Stageである「2026中期経営計画」は、「挑戦と変革」をキーワードに、従来の仕事の仕組み、やり方を変えていく期間と位置づけ、中期経営計画の結果を踏まえつつ、3つの主要施策「①新ビジネスモデルとコーポレートブランドの確立による収益拡大」「②戦略的M&Aによる事業規模の拡大」「③DX基盤整備による業務改革の実現」を中心に、グループ一丸となって取り組みます。
このうち①については、昨年「Vision2033」の公表後、私自身が7月から8月にかけて全国の支店・工場・営業所を回って、当社の10年後の姿について従業員と対話を重ねました。その中で多かった声が「エーアンドエーブランドって何?」というものでした。そこで、この統合報告書を発行し、さらにInstagramで情報発信を行う等、一層のブランド力強化に取り組んでいます。また、これまでは商品の販売のみに注力しがちでしたが、これからはお客様に対して企画・提案に始まり仕入れ、製造、販売、施工、アフターサービスに至る、上流から下流までをカバーするバリューチェーンの創出に取り組みます。
さらに、環境ビジネスの主な取り組みとして、グループの断熱・防音技術等を活かして、当社の工場も含めて環境改善に取り組み、ビジネスモデルとして伸ばしていきたいと考えています。
また、②のM&Aについては、「Vision2033」の売上高目標の1,000億円達成には不可欠であり、ターゲットを絞って積極的に進めていくことを計画しています。
③のDX基盤の整備についても、基幹システムの更新や工場におけるスマートファクトリーの具現化に取り組みます。
そのほか、毎週行っている当社の経営会議にグループ会社トップが参加し、様々な議論を行い、グループシナジーの強化を図ります。また、海外展開では、拠点がある台湾とインドネシアにおける事業を強化するなど、さらに実績を伸ばしていきたいと考えています。
サステナビリティを積極的に推進する態勢を構築
2026中期経営計画では、長期経営構想「Vision2033」の主要施策に掲げた成長戦略と、長期CSRビジョン「CSR2033」のESG課題への取り組みを相乗的に推進し、持続的発展と企業価値向上を目指します。
環境分野の活動としては、やはり気候変動への対応に向けたCO2削減が基本であり、エネルギーコストをいかに下げるか、必要な投資も含めて誠実に取り組みます。社会分野では快適な職場づくりとダイバーシティの推進に引き続き取り組みます。特にわれわれ建築関連業界はもともと女性が少なく、働く環境も整っていません。当社では女性社員および管理職の比率を伸ばしていき、特に新卒採用では採用枠に占める女性の割合を5割以上にする予定です。また、将来的には外国人の採用も増やしていきたいと思っています。同様にガバナンス分野でも、6月の株主総会を経て、社外取締役2名のうち1名、監査役3名のうち1名を女性にお願いいたしました。
ステークホルダーの皆様へ

当社が2000年に発足してから、今年で24年が経過しました。最初の15年ぐらいは最終赤字と最終黒字の年が約半々という大変な時期があり、その後ようやく復配できて財務体質も改善してきました。
発足当時に400億円あった借入金が、この3月末現在で44億円となり、キャッシュも25億円確保してあります。このように、それまでは財務体質を改善することを主に考えて経営を行い、自己資本比率も47%まで上がってきたのです。
そこで、これからは財務健全化を重視した緊縮型の経営方針ではなく、成長と事業拡大による企業価値の向上を目指す積極投資型へと経営の軸足を移していきたいと考えています。
そのベースになるのは、当社としてのサステナブルとは何かということです。事業運営においての「環境と人」の問題を大切にして、誠意を持って取り組みます。
特に「人」については、従業員に様々な勉強の機会を提供していきたい。例えば当社には語学研修制度があり、新型コロナウイルス感染症の流行前は、フィリピンに約3カ月にわたり希望者が参加していましたが、その取り組みも復活させる予定です。
人材への投資に加え、CO2削減を含む環境問題に全力で取り組み、それをベースとして持続的に成長していく、当社はそういう企業グループを目指していきます。
事業体質の変革については、今まで通り商品を販売するだけではなくて、自分たちの持つ技術や実力、ニッチトップな製品をどうやって横に展開していくか。あるいはお客様にご理解いただくかに注力していけば、当社はまだまだ成長できる会社だと自負しています。
現在の日本では、建材事業にこれから新たに参入する企業や人はなかなか出てきません。人口も減少し、人手不足は続きます。しかし、ビルや様々な施設の建設が続く以上、そのための材料が不要になることはありません。
こうした状況の中で、当社の技術やサービスは必ず生き続けます。これからは、一緒に成長していく仲間をたくさん作っていきたい。それはM&Aかもしれないし、何らかの協業の形を取るかもしれません。さらに極論すれば、ほかの企業が見捨てたような建材も、当社の営業力・提案力によって甦る可能性も十分あると考えています。当社グループには、それだけの力があるということを皆様に知っていただければ大変ありがたいと思っています。
その最初のスタートとして、この統合報告書がお役に立てば幸いに存じます。ステークホルダーの皆様におかれましては、今後とも一層のご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。