設計上の留意点と不具合事例
1. 設計上の留意点
① |
「護免火NR/HR」(多段積層タイプ)は、耐火被覆外側の近傍に壁や設備等がある場合、水平変位が生じた時に干渉する恐れがあります。耐火被覆材の周囲には、想定する水平変位量に応じたクリアランスを確保してください。 |
② |
「護免火NRパネル/HRパネル」(パネルタイプ)は、免震装置の水平変位量に応じて、免震装置と耐火被覆パネルの離隔距離を確保する必要があります。柱の断面内に耐火被覆を納めるためには、柱を構造上必要な寸法以上にしなければならない場合があります。 |
③ |
「護免火」シリーズは、すべて耐火構造認定品です。それぞれに耐火構造認定上必要な納まり寸法がありますので、事前にご確認ください。 |
④ |
耐火被覆材を取り付ける躯体の設置⾯は、⽔平レベルや平滑性を確保する必要があります。また、耐⽕被覆材取付け⽤の下地⾦物を固定するために、予めベースプレートなどにタップ孔をあけておく必要がある場合があります。事前に精度や納まり、施⼯⼿順等についてご検討ください。 |
⑤ |
「護免火」シリーズは、免震装置の維持管理・点検のための耐火被覆材の取り外しが可能です。取り外しや再取付けを考慮した周辺クリアランスや納まりを計画してください。 |
⑥ |
「護免火」シリーズは、直接雨掛かりになる部分へは使用しないでください。雨掛かりになる恐れのある部分に使用する場合は、外装パネルやカバーなどの適用をご検討ください。 |
⑦ |
パネルタイプの「護免火」シリーズを設置した柱と連続する壁については、取り付く壁の免震スリットの高さレベルに差が生じないように注意してください。高さレベルに差があると、変位時にお互いが衝突するため、「護免火」を設置できません。 |
⑧ |
「護免火」シリーズは、耐火被覆を施すと免震装置の点検・初期値測定ができなくなってしまうため、免震装置の竣工前検査の後に施工します。施工数量等に応じた工程を計画してください。 |
2. 不具合事例
(1) |
多段積層タイプの不具合事例 |
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① |
水勾配および面取りの影響により、下部躯体側に耐火上不利となる隙間が発生した。 |
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留意点 |
下部躯体と耐火被覆材との間に隙間が生じないよう躯体レベルは平滑にしてください。 |
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また、面取り内側に耐火被覆材が納まるように留意願います。 |
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② |
ベースプレートの寸法が大きいため、耐火被覆材が躯体内に納まらない。 |
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ベースプレートと躯体レベルがズレているため隙間が発生した。 |
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留意点 |
ベースプレートの外側に耐火被覆材を設置できるよう、躯体寸法を拡大検討願います。 |
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③ |
耐火被覆材と壁との距離が狭いため、変位時に耐火被覆材と壁が干渉して破損する。 |
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留意点 |
変位時に耐火被覆と壁が干渉しない離隔距離の確保に留意願います。 |
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④ |
角形タイプは入隅部の壁と干渉するため施工ができない。 |
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フランジ(ベース)形状が角形の場合、丸形タイプでの施工ができない。 |
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留意点 |
入隅部に多段積層タイプを検討いただく際は、フランジ(ベース)形状および施工時や変位時に壁と干渉しない離隔距離の確保に留意願います。 |
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⑤ |
ベースプレートが耐火被覆材の内側に納まらず露出してしまう。 |
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留意点 |
ベースプレートと躯体サイズが同じ場合には、多段積層タイプではなく、パネルタイプにて検討願います。 |
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⑥ |
区画壁と接する柱に多段積層タイプを設置するには、変位時に壁と干渉しないよう壁を切り欠いて隙間を塞ぐ必要があるが、その隙間処理材は変位が生じた場合、元の状態に戻らない可能性がある。 |
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留意点 |
区画壁と接する柱に対しては、パネルタイプの設置を検討願います。 |
(2) |
パネルタイプの不具合事例 |
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① |
耐火被覆材と壁を組み合わせた合成構造は認定外のため施工できない。 |
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留意点 |
免震装置の四周を耐火被覆材で囲う必要があります。 |
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② |
入隅コーナー部は作業スペースが狭いため下地金物の設置が困難。 |
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壁際の下地金物に耐火被覆材をボルト固定するための作業ができない。 |
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留意点 |
免震装置の設置場所が入隅部とならないよう、壁の配置に留意願います。 |
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③ |
免震目地レベルが異なるため、変位時に耐火被覆材と壁が干渉して破損する。
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